酪農学園×Yogibo

異なる領域が交わることで、学びはどう深まるのか 酪農 × ものづくり × 探究学習

酪農学園大学附属とわの森三愛高等学校の生徒たちとともに進められた、乳牛をモチーフにしたYogibo Mate制作プロジェクト。

本プロジェクトは、単なるプロダクト開発にとどまらず、牧場視察やワークショップを通して、生徒たちが「乳牛」という身近な存在を見つめ直し、その理解を深めていく学びの場として設計されました。

今回は、プロジェクトに関わったYogibo・大森氏、NPO法人北海道エンブリッジ・浜中氏、そして進行役の田口による対談をもとに、その背景と意義を紐解きます。

「商品をつくる」を、学びのプロセスに

田口: まずは今回のプロジェクトの背景と、お二人の関わりについて教えてください。

大森: きっかけは、とわの森三愛高等学校の生徒さんから「乳牛のYogiboを作りたい」という声をいただいたことでした。そこから、ただ制作するのではなく、「ものができるまでのプロセスそのものを学びにできないか」と考え、授業として設計し直したんです。
学びの質を高めるために、北海道エンブリッジの浜中さんに入っていただきました。現地視察や対話の場で、生徒の気づきを引き出す役割を担っていただいています。

浜中: 私は普段、高校生・大学生のアントレプレナーシップ教育やインターンシップの設計に関わっています。今回も、全体設計のディスカッションや、現地での問いかけを通じて、生徒の学びを深める役割を担いました。

「異なる領域の交差」が生む、新しい問い

田口: 今回のプロジェクトを最初に聞いたとき、どんな印象を持たれましたか?

浜中: 率直に「面白い組み合わせだな」と思いました。酪農とYogiboは、一見するとまったく異なる領域です。でも、そこに「商品づくり」や「マーケティング」という視点が入ることで、生徒が考える範囲が一気に広がる。それが学びとして非常に豊かだと感じました。

大森: 酪農も本来は“産業”ですから、マーケティングや価値づくりの視点は欠かせません。だからこそ、生徒一人ひとりの興味や強みと組み合わせて、新しい価値を自分たちで生み出す機会にできるといいなと思いました。

「感じる」から始まる学び——牧場視察の設計

田口: Day5で取り組んだYogiboヴェルサイユリゾートファームへの視察では、どのような工夫があったのでしょうか?

浜中: 最初に伝えたのは「まず自由に見て、感じてください」ということでした。それぞれの視点で自由に感じてもらった上で、

  • どんな気づきがあるか?
  • 働いている人はどんな人か?
  • どんな気持ちで取り組んでいると思うか?

といった問いを投げかけました。見たものをきっかけに、そこにいる“人”や“背景”を想像してもらうことを大切にしました。

大森: あえてテーマを絞らなかったのもポイントでした。疑問がたくさん出る生徒もいれば、なかなか浮かばない生徒もいる。でも「疑問が出ない」という体験自体も、学びのひとつになります。

応援される仕組みから見えた、新しい視点

田口: 視察先のYogiboヴェルサイユリゾートファームならではの学びはありましたか?

大森: 大きかったのは「応援される仕組み」です。引退競走馬の牧場として、従来とは異なる形でビジネスモデルが成立している。その背景には、「ストーリー、発信、共感」があり、多くの人に支えられている。これは酪農にも応用できる視点だと感じました。

浜中: 動物の命という観点でも大きな学びがありました。「人の利用」と「動物のウェルビーイング」をどう両立するか。生徒たちにとって、自分たちの未来の仕事と重ねて考えるきっかけになったと思います。

「作るだけ」で終わらない。当事者として関わる経験

田口: プロジェクト全体を通じて、生徒にとっての意義はどこにあったと思いますか?

浜中: 一番大きいのは「当事者意識」です。通常、このような商品づくりは大人が主体として進めていくことが多いのですが、今回は企画から発信まで、一連の流れに生徒たちが関わりました。その結果、「自分たちが失敗したら、本当に失敗するかも」という感覚が芽生えていました。

大森: 企業側としても気づきがありました。単に商品を提供するのではなく、一緒に作ることで、当事者としての想いが細部に反映されます。また、自分たちの商品だと実感することで愛情が湧き、その後の発信や周囲の応援にもつながる、といった広がりが生まれました。

「好き」から始まるものづくり

田口: 完成したメイトについて、印象的だった点はありますか?

大森: 今回は、見慣れた乳牛を改めて観察することを通して、好きな特徴や性格を洗い出すことから始まりました。そこには、生徒たちが乳牛とともに過ごしてきた中で育まれてきた愛情や物語が込められています。
たくさんの特徴や性格、物語といった要素がデザインとして具現化され、それらが相互に影響しながらメイトのプロフィールが生まれていく。このプロセスは非常に新鮮でした。

浜中: 実際に見て、「かわいい」だけではない、“生きている感じ”や“温かみ”を感じました。背景にある多様な実体験が、そのままメイトに表現されている印象です。

領域を越えることで見えてくる可能性

田口: 最後に、今後へのメッセージをお願いします。

浜中: 今回の取り組みで感じたのは、「領域を広げること」の重要性です。企業も、学校も、生徒も、それぞれ自分の領域に閉じがちですが、外と交わることで新しい可能性が生まれる。こうした取り組みが特別なものではなく、当たり前になっていくといいなと思います。

大森: 今回の取り組みの中心にあるのは、ただ“モノ”を作ることではなく、乳牛と学生、学校や酪農業界、牧場など、多様な担い手との関係性を味わい、自身もその一部になる体験です。だからこそ、自ら問いを設定し、観察するプロセスを多く取り入れました。
企業にとっても、学生と「共に創る」ことが、そのまま商品としての価値になる。今回のような取り組みが、これから広がっていくことを期待しています。

 

酪農学園大学附属とわの森三愛高等学校について

酪農学園大学附属とわの森三愛高等学校は、酪農教育をはじめ多様な探究学習を特色とする学校です。実践を通じた学びにより、地域と社会に貢献する人材育成を目指しています。
【公式サイト:https://www.san-ai.ed.jp/】

Yogiboヴェルサイユリゾートファームについて

北海道日高町にあるYogiboヴェルサイユリゾートファームは、​国内トップクラスの引退名馬在籍牧場です。”引退競走馬の理想の未来を作れると信じて”を理念に、競走馬としての現役生活や種牡馬生活を終えた功労馬を預かり、引退競走馬の余生をサポートする活動をしています。
【牧場紹介:https://www.versailles-resort.com/ 】

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